MatchThemを用いた多重代入後の傾向スコア解析

R

欠損値(とくにMAR)のあるデータでは多重代入法(multiple imputation)を用いて欠損値の補完を行うことが適切とされ,巷でよく行われるリストワイズ削除(list-wise deletion),つまり欠損値を含むデータを除外して解析する手法はバイアスを生じるとされる.

ここではRによる欠損値を含むデータに対して多重代入による補完を行った後に傾向スコア解析を行うためのパッケージ”MatchThem”の具体的な使用方法について記載する.なお,理論などは割愛しており,ひとまず傾向スコアマッチング(PSM: propensity score matching)のみを記載しています.

準備

ここではパッケージ”Match Them”,”mice”,”cobalt”, “survery”を用います.
それぞれ傾向スコア解析,多重代入,バランス評価,解析を目的としたものです.
読み込んで,前者に付属している変形性関節症のデータセットを用いることとします.
目的はOSP(骨粗鬆症)はKOA(変形性膝関節症)の発症要因となるかです.

library(MatchThem)
library(mice)
library(cobalt)
library(survey)
data('osteoarthritis')

データセットの中身を確認してみましょう.

summary(osteoarthritis)

このデータセットには7つの変数があり,BMI, RAC, SMK, KOAに欠損データが含まれていることが確認できます(例えばKOAには193の欠損値).欠損値がランダムに欠損していると仮定し,多重代入法を行います.

多重代入(multiple imputation)

miceパッケージを用いて欠損代入を行います.
ここではテストのため代入の結果として作成するデータセットの数を5つとしています.(本来は50など)

imputed.datasets <- mice(osteoarthritis, m = 5)

ずらずらっとコードが流れます.マシンのスペックによっては少し時間がかかるかもしれません.

傾向スコアマッチング

続いて傾向スコアマッチングを行います.
matchthem()を用いて傾向スコアに対する最近傍マッチング,傾向スコアの標準偏差の5%のキャリパー,2:1のマッチング比を用いて先程作成した多重代入後データセットであるimputed.datasetsをマッチングします.

matched.datasets <- matchthem(
  OSP ~ AGE + SEX + BMI + RAC + SMK,
  datasets = imputed.datasets,
  approach = 'within',
  method = 'nearest',
  caliper = 0.05,
  ratio = 2)

終わったらcobaltパッケージのbal.tab()を利用してマッチング後のバランスを評価してみましょう.
ここでは割愛していますがlove.plot()を使用してきれいな図を作成することもできます.

bal.tab(
  matched.datasets, stats = c('m'),
  imp.fun = 'max')
Balance summary across all imputations
             Type Max.Diff.Adj
distance Distance       0.0106
AGE       Contin.       0.0122
...

SMD(standardized mean difference)の絶対値が最大でいくつであるかを確認します.
基本的にSMDは0.1以下(たまに0.2や0.25を使用している研究もあり)がバランスが取れていると判断されます.

解析

続いて解析を行います.
具体的にはそれぞれのデータセットごとにwith()を用いて行うことになります.
ただし加重線形モデルを用いるためにsvyglm()を用います.

matched.models <- with(
  matched.datasets,
  svyglm(KOA ~ OSP, family = quasibinomial()),
  cluster = TRUE)

因果効果推定結果の統合

最後に結果をpool()を用いて統合します.

matched.results <- pool(matched.models)
summary(matched.results, conf.int = TRUE)

得られた結果をみるとodds ratio 0.88 (0.66 – 1.17),有意な結果は得られませんでした.

参考

MatchThem:: Matching and Weighting after Multiple Imputation
by Farhad Pishgar, Noah Greifer, Clémence Leyrat and Elizabeth Stuar

重み付けも同様に行うことができます.

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